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住環境に善玉菌を取り入れ免疫力を高める方法とは【米大学研究】

更新日:2023年7月18日




 長引くコロナ禍において、人々のウイルス感染対策に対する意識が変わりつつあります。新型コロナウイルス発生当初は、これといった打開策のない中、消毒の徹底、マスクの着用、行動の制限が行われました。次に空間におけるウイルス感染対策が進むにつれ、空気洗浄機、オゾン発生器など様々な機器が導入されました。そして、ついに新型コロナウイルスに対するワクチンが開発され摂取が進みました。しかしながら、ワクチンを持ってしても、ウイルスは一度発生してしまったら根絶まで100年以上の年月を要すると言われています。例えば、1796年イギリスのジェンナーが天然痘の予防のために種痘を初めて行いましたが、WHOが天然痘根絶宣言を行ったのはそれから200年近く経った1980年です。

 同じように、新型コロナウイルス感染に対しても長期戦が予想される中、ワクチン接種は果たして年に何度も受け続けるべきなのかという疑問の声も上がるようになってきました。更に、新型コロナウイル感染対策に使われた大量の化学薬品が、環境や人体に対して既に悪影響を及ぼしているといった研究論文も発表されるようになりました。

そのような指摘がある中、最近注目されるようになったのが免疫力を高めることでウイルスへの感染リスクを軽減するというアプローチです。

 今回は、免疫力を高める方法として、中でもまだあまり知られていない、「空間において善玉菌優位なフローラを形成することで、免疫力を高める住環境を整える」という画期的な方法をご紹介したいと思います。



免疫力とは

 

 免疫力とは、病原体などの異物から体内を守る抵抗力のことです。異物には、体内で発生するガン細胞と、外から侵入する細菌やウイルスなどがあります。

 免疫は、感染を予防する「粘膜免疫」と感染後に働く「全身免疫」の2段構えになっています。

 細菌やウイルスの体内への侵入口はほとんどが鼻、のど、気道、腸などの「粘膜」からです。粘膜は「粘液」を分泌して異物から粘膜細胞を守っていますが、その70%は腸に集まっていると言われています。それが、「腸内環境を整えることが免疫力を高める」と言われている理由です。また粘液の中にはIg Aという抗体が分泌されていて、このIg Aがウイルスを中和して感染から身を守ります。

 病原体やウイルスなどの異物が「粘膜免疫」を突破して体内に侵入し、感染する「全身免疫」が働きます。「全身免疫」はリンパ節や血液などで働きます。発熱や下痢により異物を攻撃してくれます。



免疫力を高める従来の方法

 

 免疫力を高める生活習慣として、一般的に「①定期的に運動する」「②腸内環境を整える」「③ストレスを解消する」の3つが重要であると言われています。以下にそれぞれご説明致します。


①定期的に運動をする

 免疫系の細胞は多岐に渡るため、総合的な免疫力の高さを、測る指標は、今のところ存在しません。しかしながら、上記の唾液中のIgAの分泌量が免疫力の高さの目安として使われています。

 免疫力を高めるには、「適度な運動」が良いと言われています。早稲田大学スポーツ科学学術院 秋本教授等が行った実験によると、45人の高齢者(平均年齢64.9歳)が60分間の中程度の運動を週1回行ったところ、唾液分泌性IgAの分泌速度が運動前に比べて12カ月後には57.6%増加したという結果が明らかになりました。




グラフ1:“Effects of 12 months of exercise training on salivary secretory IgA levels in elderly subjects” Br J Sports Med 2003を元に弊社にて作成


 一方、マラソンなどの長時間の激しい運動後にランナーが風邪をひきやすくなるなどこれまで運動のし過ぎは、分泌型IgAの唾液濃度などが一過性に低下し、免疫抑制作用のあるストレスホルモンが分泌される、また抗炎症性サイトカインの分泌バランスが崩れるなどの作用により免疫力を下げると言われていました。しかしながら、京都大学 医学研究科の足立助教等の最新研究によると、ウイルス曝露からのタイミングによって正にも負にも作用しうることが解明されました。

 運動の強度と免疫力の関係は、今後更なる研究と議論がいずれにしろ、肥満が進行すると、血液中で増える脂肪酸によって免疫細胞が活性化され免疫異常の原因となると言われています。体脂肪は、運動を始めてから20分くらいで燃焼し始めるので、運動は20分以上続けることがポイントだと言われています。

 このように、免疫力を高める運動強度、頻度、時間には、所説あり、年齢やその人の体力によって異なると言われていますが、一般的には、週3回、1日20~60分の運動が免疫力を高める運動として推奨されています。


②腸内環境を整える

 先に述べたように、免疫力の7割が腸内で作られていると言われています。「腸内環境を整えて免疫力を高める」と言われているのはそのためです。

 腸内環境を整えるには、「バランスの良い食事」と「腸内環境を整える成分を含む食材」を摂ることの2つが重要です。


バランスの良い食事をとる

 厚生労働省は、食事バランスガイドで日本人の理想的な食事として、1日に食べるとよい目安の多い順に、主食5~7つ(SV:サービング)、副菜5~6つ、主菜3~5つ、牛乳・乳製品2つ、果物2つをそれぞれとることを推奨しています。



腸内環境を整える成分を含む食材

 腸内環境を整えるには、腸内にいる善玉菌のエサとなる食物繊維を摂ることと、善玉菌を含んだ食材を摂ることが重要です。食物繊維は、穀類、野菜、穀物、キノコ、豆類、イモ類などに多く含まれます。善玉菌を含んだ食品として、ヨーグルト、漬物、納豆、味噌などの発酵食品があります。また近年、乳酸菌などの善玉菌を含んだ飲料や食品が多く開発され販売されています。それらを上手く活用しながら、日ごろから食生活を見直すことが重要です。


③ストレスを解消する

 ストレスを解消することで免疫力が高まると言われており、そのメカニズムは、自律神経と関わっています。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、両方がバランスを取りながら、体調をコントロールしています。交感神経は、活動モードの時に優位に働き、副交感神経はリラックスモードの時に優位に働きます。交感神経と副交感神経がバランスよく働いている状態だと、日中は交感神経が優位に働き、夜になると副交感神経が優位に働きます。          ところがストレスがかかった状態だと、夜も交換神経が優位な状態で活動モードとなってしまい、自律神経が乱れてしまい、それが免疫力の低下に繋がります。

 自立神経の乱れによる免疫力の低下は、「十分な睡眠をとる」「お風呂でリラックスする」ことによって解消することができると言われています。


十分な睡眠をとる

 睡眠不足になると、自律神経が乱れ、日中に働いていた脳の疲れが取れない状態になります。十分な睡眠は脳の疲れによるストレスを解消するポイントとなりますが、最近の研究で「十分な睡眠」は年齢や人によって異なるということが明らかになっています。所説ありますが、一般的に6~8時間の睡眠が自律神経を整え免疫力を高めるには十分な睡眠であると言われています。


お風呂でリラックスする

 入浴は、全身の血液とリンパの流れを良くし、リラックス効果があると言われています。リラックスした状態になると、副交感神経が優位になり、ストレスが解消されます。しかしながら、適切な入浴方法には諸説あるのが現状です。半身浴の方が身体に負担がなくて良いという見解と、全身浴の方が、血流が良くなるので心臓疾患など健康の問題を抱えない限り良いという見解があります。 入浴時間についても、20~30分が適切であるという説と、時間が長すぎると逆に疲労が溜まるという説があります。更には、温度においても、38~40℃のぬるま湯が良く温度が熱すぎる場合、交感神経を刺激するので睡眠の質を下げるという説と、血流を良くするためには、40℃以上のお風呂に入ることが効果的だという見解があります。

 このように入浴にも所説ありますが、一般的には、寝る1時間程度前に、ぬるめのお湯に20~30分浸かることが免疫力を高めるとされています。



免疫力を高める新たな方法:善玉菌で住環境を改善

 

 上記のように、免疫力を高めるには「①定期的な運動をする」、「②腸内環境を整える」、「③ストレスを解消する」ことの3つが重要であるとされています。しかしながら、先にご紹介したように所説ある上、年齢や体質など人によって適切な条件が異なるため、なかなか自身にあった生活習慣方法が分からないといった方も多いのではないでしょうか?更に「週3回も1日20~60分程度の運動をする時間がなかなか取れない」、「炭水化物が好きでついつい食生活が偏ってしまう」、「仕事や家のことで忙しく十分な睡眠やゆったりとお風呂に入る時間がなかなか取れない」など免疫力の高まるライフスタイルを習慣化できない方も多いことかと思います。おそらく一番確実で手軽な免疫力を高める方法は、乳酸菌などの善玉菌を含んだ食品や飲料を摂ることで、そのような背景から、数多くの乳酸菌飲料や食品が市場に出回るようになりました。

 このような状況の中、最近欧米で注目をされているのが、善玉菌で腸内環境を整えるように「住環境に善玉菌を加えることで免疫力を高める」という方法です。住環境において善玉菌を増やし、病原菌やウィルスに対して優位な状態にすることで、外敵に対抗するための免疫消費量が軽減し、結果として免疫力が高まるとされています。実はこれは、私たちが昔から何気なく行っていた田舎で静養するという健康回復・維持方法と非常に似通っています。自然豊かな場所には人間の健康にとって有益な菌(微生物)が多く存在しています。また逆にそのような場所では健康に害のある病原菌やウィルスが少ないため、ヒトは免疫力を回復できるだけでなく高めることができるのです。

 それでは住環境において、どのような善玉菌が有効なのでしょうか?人間の健康に有益であるとされる善玉菌は様々あります。腸内環境を改善することでよく知られているのが乳酸菌ですが、乳酸菌は乾燥した表面に弱いため、住環境では生きることができません。

 腸内フローラのように、住環境におけるフローラを形成できる善玉菌の活用は、長年研究されていましたが、腸内と異なり、湿度、温度など環境の変化が激しいため、難しいとされていました。しかしながら、欧米の最先端の研究で、環境の変化に強い善玉菌を数種類厳選し、消臭剤や洗浄剤に活用する方法が開発されました。その善玉菌とはバチルス菌という納豆菌などと同じ枯草菌の一種で、幅広い湿度や温度でもその効果が確認されています。



善玉菌によるフローラの形成

 

 次に善玉菌(バチルス菌)を空間噴霧するという上記の最先端技術の実験結果を紹介致します。


実験内容

「善玉菌(バチルス菌)の噴霧」(2015年)


研究機関

 ベルギー クリサル社R&D


研究目的

 善玉菌が空間においてフローラを形成するかを検証。


実験場所

 200㎡の室内(ベルギー クリサル社オフィス内)


実験方法

 15分おきに0.5mlを30秒間、200㎡の部屋に噴霧。


実験期間

 45分


使用製品

  • 噴霧器:最大噴霧量の5割程度(1ml/分)の量で噴霧。

  • 善玉菌(バチルス菌)を高濃度に含んだ薬剤(1.5億/cc)


サンプリングの採取

  • 善玉菌(バチルス菌)を、15分、30分、45分おきにカウント。

  • 善玉菌(バチルス菌)の数は噴霧器からおおよそ12フィート(約3.6m)のところで計測。


効果/結果

  • 1回目の30秒間の噴霧から、善玉菌の増殖が部屋全体に認められた。

  • 3回の噴霧後(45分後)、対象空間は善玉菌(バチルス菌)で密集された状態となった。⇒フローラの形成*

*以下の写真にある、白いフローラが善玉菌(バチルス菌)。





住環境に善玉菌を取り入れて免疫力を高める

 

日本人は腸内フローラにおける善玉菌活用に対する意識が最も高い国民であると言われています。その一方、住環境に対しては徹底した「除菌」が行われているというパラドックスがあります。それと言うのも、住環境において善玉菌を活用することが技術的に難しかったという背景があります。しかしながら、今回の欧米の最先端の研究で善玉菌を含んだ消臭剤や洗浄剤が開発されたことで、今後、善玉菌を住環境に取り入れて免疫力を高める住環境を整えるという生活習慣が浸透して行くことが考えらます。



 

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